そうだ、僕らはくらしの プラットフォームを作りたかったんだ。

最高の山ごはんは、「記憶」の中にありました。

最高の山ごはんは、「記憶」の中にありました。

2017.08.09

PIE

 

8月11日は「山の日」です。山登りや山歩きを計画している方におすすめしたい“ホシガラス山岳会”の本をシリーズでお伝えいたします。

3冊目にご紹介するのは「最高の山ごはん」。おいしい山ごはんってどんなだろう?豪華さや手軽さも大切ですが、忘れられない味はいつも最高の思い出とともにあるものです。ホシガラス山岳会8人の山の記憶から生まれたアンソロジーレシピ集。

 

山開きを告げる、すだち素麺

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ある初夏。山開きを迎えた南アルプスの北岳を目指した。沢に添うようにして登って行く北岳の登山道。ちょっと待っててねと言いつつ、友は沢から水を汲んできて沸かし、素麺を茹で始めた。家では氷をたくさん入れて食べるけど、氷水のように冷たい沢水で作った素麺は格別だ。きゅっとしまっていて、麺の芯までひんやり。さっきまで流れていた汗もひいて、気持ちもしゃきっとしてきた(すだちの爽快感のおかげ)。

その夏以来、すだち素麺は初夏のアルプス山行の定番料理になっている。というか、これがないと夏山が始まらないような気さえする。みょうがや大場などの薬味もしっかり持って、おいしいつゆも忘れずに。そうそうその前に、素麺をしめられるきれいな沢が途中にあるかどうか、地図をじっくり見て行き先を選ぶことが先決だ。

 

エベレスト街道、救いのスープ

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ルクラの飛行場に降りた瞬間、頭痛がした。高山病だ。登山初心者なのに、なぜエベレスト街道に来てしまったのか。私の胃はもはや液体しか受け付けないほどの脆弱さで、おかげで各山小屋のスープを制覇することとなった。ネパールでアメリカの味に救われるなんて情けない話だけれど、旅を終えて思い出すのはあのスープの味。記憶というのは、「おいしい」だけに支配されるものでは、けっしてないのだ。

 

自立の証明としての鶏丼

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正直、何度山に登っても心の底から楽しいと思えることがなかった。いつも誰かに誘ってもらって案内されて、導かれるままに歩いていた。登山を始めて2年目。食事当番を任されたこともあって、ふだんよりも緊張。山で料理をした経験もないし、失敗したらどうしよう。こんなことを出発前までずっと考えていたので、行く前から疲れてしまった。でも不思議といつものような後ろめたさや申し訳なさは感じなかった。あれこれ思案して作った鶏丼をみんながおいしいと食べてくれたとき、ああ、山っていいなあと素直に思えた。思い返せばこのとき、私は「自立」できたのかもしれない。これまで仲間の肩越しだった山の風景が、ちゃんと真正面に広がっているように見えた。

 

車中泊の缶ツマ宴会

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山へ行く前日に家を出て、登山口で車中泊。いろいろな缶詰をちょっとアレンジしてお酒に合うつまみを作る。ままごとのようで、楽しい宴会。

pie_gohan_5知ってるのと知らないのじゃ全然違う「山ごはんの便利もの事典」付

 

 

ホシガラス山岳会とは

キャンプやトレッキング、登山などの外遊びを通して知り合った女性クリエイターでつくる趣味の会。毎回全員で活動するわけではなく、のんびりキャンプ、海外トレッキング、修行的アルプス縦走など、自分の技術に合うイベントに自由に参加するスタイル。定例飲み会は全員参加。メンバーは以下。

金子夏子(スタイリスト)、小林百合子(編集者)、森美穂子(デザイナー)、小池瑠美子(ヘアメイクアーティスト)、【noyama】山戸ユカ(料理家)、野川かさね(写真家)、しみずまゆこ(木工作家)、高橋紡(編集者)

 

 

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書名:『最高の山ごはん

仕様:B6版変型(177×128mm)/ソフトカバー/160 Pages(144 in Color)

定価:(本体1,600円+税)

ISBN:978-4-7562-4828-2 C0070

発売元:パイ インターナショナル

writer:
PIE
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出版社PIE Internationalです。デザイン書・ビジュアル書を中心に、おしゃれで、気持ちよく、そして新鮮な出版を目指しています。

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