そうだ、僕らはくらしの プラットフォームを作りたかったんだ。

みんなが登る山が必ずしもあなたの登りたい山とは限りません

みんなが登る山が必ずしもあなたの登りたい山とは限りません

2017.08.08

PIE

8月11日は「山の日」です。山登りや山歩きを計画している方におすすめしたい“ホシガラス山岳会”の本をシリーズでお伝えいたします。

2冊目にご紹介するのは「あたらしい登山案内 趣味と気分で選べる山ガイド」。山に行きたいけど、どこの山に登ったらいいかわからないとお嘆きの方へ。「料理」、「買い物」、「運動」、「旅」、「写真」…etc. 自分の趣味から「登りたい山」を見つける、非常に新感覚な登山案内です。

 

森 美穂子の「尾根の山」/奥多摩・雲取山

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尾根とは山の背骨のような部分で、たいていの場合、頂上からずーっと、隣のそのまた隣の山まで続いていく、長い長い道です。尾根は山の一番高いところにあるので、そこまでたどり着くのは苦しい道のりです。だいたいは林の中をひたすら登って登って、もうだめだと思った頃に視界が開けて、尾根に出ます。そうすると、それまでの苦しさはどこへ。最後の登りを駆け上がって、延びる尾根をスキップして歩きたくなるのです。

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東京都の最高峰である雲取山も、尾根ラバーにとってはたまらない山。登山口から尾根に出るまで4時間みっちり登るのでかなりの苦行ではありますが、カラマツがきれいに整列したような端正な尾根は見事です。初夏なら爽やかな緑、秋には黄葉と、季節でがらっと表情が変わるのもすてきです。

 

小林 百合子の「山小屋の山」/奥秩父・金峰山 金峰山小屋

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はじめて登山をしたのは、奥多摩の雲取山でした。取材ということでしぶしぶ登ったのですが、それはそれはしんどかった。でも、そんな苦い思い出のなかでも、ひとつだけ楽しかった記憶があって、それが山小屋で過ごした一夜でした。へろへろで到着して飲んだ缶ビール。かまどで炊かれたつやつやごはん。ストーブを囲んでの宴会。星空‥。街の旅館に比べたら素朴だけれど、不便な場所で心づくしのもてなしをしてくれたことが嬉しかったし、自分たち以外、だーれもいない山の中で寝起きするという体験に興奮したのでした。

なかでも金峰山小屋は何度も通っている小屋。東京からアクセスがよく、コースタイムも4時間くらいとちょうどいい感じ。定員60名ほどの小さな小屋なので、とてもアットホーム。秋はこたつに入りながら本を読んだり、お酒を飲んだり。実家で過ごす正月のようなぐうたらぶりですが、なんといってもこれが、山小屋時間の醍醐味なのです。

 

金子 夏子の「岩の山」/北アルプス・北穂高岳

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「岩の山」と聞くと、屈強な男たちがロープを担いでガシガシ登って行くようなイメージかもしれませんが、そのじつ知的な一面もあって、知れば知る程奥深い世界が広がっています。何度か岩の山に登るうち、あれ、楽しいぞと思うようになりました。それまで適当だった足運びを、少し慎重に、考えて歩いてみると、なんだかすごく楽。次はこの岩に右足、左足はあの岩に、右手はこっちで、左手はあっちに伸ばして・・・。次の一歩、一手を設計しながら歩くと、スイスイと岩を登っていけるようになったのです。

あとでわかったのですが、これはクライミングと同じような感覚です。効率よく、美しく山を登ること。それを追究していくことが、岩の山を登る楽しみなのだと知りました。そして経験を積むほどに、その「岩を読む力」も上達します。

 

野川 かさねの「花の山」/尾瀬・尾瀬ヶ原

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山で使うのはフィルムカメラがほとんど。充電が難しい山では、電池がいらないアナログカメラは心強い存在です。重さはありますが、そこはできる限りほかの荷物(着がえなど)を削って調整しています。

二眼レフの場合、フィルムは1泊2日の山行で10本前後です。レンズ交換ができないカメラなので、花を撮影するときは接写フィルターを。レンズにかぶせるだけで接写できます。雪解けの川の音や鳥の声を録音するレコーダーも必須。

 

 

本書では他に「食べる山」「街の中の山」「異国の山」を紹介しています。

一見、同じように見える山。選ぶ基準は標高やルートの難易度に依りがちです。でも、それぞれの山にはきちんと個性があります。そして、登る私たちにも個性や趣味、嗜好があります。だから、登る山を選ぶときにも、できるだけ自分の好みに合う山を選ぶのが一番楽しいはずなのです。

 

ホシガラス山岳会とは

キャンプやトレッキング、登山などの外遊びを通して知り合った女性クリエイターでつくる趣味の会。毎回全員で活動するわけではなく、のんびりキャンプ、海外トレッキング、修行的アルプス縦走など、自分の技術に合うイベントに自由に参加するスタイル。定例飲み会は全員参加。メンバーは以下。

金子夏子(スタイリスト)、小林百合子(編集者)、森美穂子(デザイナー)、小池瑠美子(ヘアメイクアーティスト)、【noyama】山戸ユカ(料理家)、野川かさね(写真家)、しみずまゆこ(木工作家)、高橋紡(編集者)

 

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書名:『あたらしい登山案内 趣味と気分で選べる山ガイド

仕様:B6版変型(177×128mm)/ソフトカバー/160 Pages(144 in Color)

定価:(本体1,600円+税)

ISBN:978-4-7562-4780-3 C0070

発売元:パイ インターナショナル

writer:
PIE
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出版社PIE Internationalです。デザイン書・ビジュアル書を中心に、おしゃれで、気持ちよく、そして新鮮な出版を目指しています。

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